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安彦良和の軟弱

2010年11月24日

安彦良和がいまいちオリジナルアニメ作品でブレイクできなかったのは、あの独特の「軟弱さ」が受け入れられなかったからではあるまいか。
リアルタイムで付き合ってた身としては、アリオンもジョウもヴィナス戦記も、終盤のムダにベタベタした感じがもう見てらんない。背中が痒くなってくる。
石森章太郎、永島慎二あたりから真崎守とか坂口尚とかもう連綿と続く、あの高度成長期の副産物的軟弱さを、もう義務のように見せつけてくるのな。
いや、それがあそこらへんの世代に特有の、いわばトンカツにソースみたいな欠かせない一大テーマだったというのはわかってるんだ。
世の中辛くて悲しいけど、たとえ死んでもぼくは歌い続けるラララみたいなの。
ただ、大抵の作家は石油ショックのあたりでそげな金にならないテーマは捨てて、生きてくためにより時代に迎合した芸風に染まらずにいられなかったんだけど、安彦良和の場合は幸か不幸かめちゃんこ絵が上手すぎたのな。だから捨てずに持って来れたという。だから言われてそのまま出しちゃったという。
あと不幸だったのは、宮崎駿がその真っ赤っ赤な思想を、さらに時代遅れなテーマを、「エコロジー」という最新流行な調味料でうまく味付けできたのに対して、安彦良和の軟弱は不幸にもそういう時代の調味料に恵まれなかったことだ。
バブルが崩壊して出てきた、あの神経症的なエヴァンゲリオンですら「逃げちゃダメだ」とか言ってるんだから、そりゃ「歌い続けるよラララ」にいまさら出番はない。
けど、そんな安彦良和は今やまさかのガンダムマンガ化で大復活。
相変わらずめちゃんこ上手すぎるあの絵でガンダムがもういっぺん見られるんだからそりゃそうだろう。
ミライさんとかミハルとかもうたまらん。
ラストスパートぜひ頑張って欲しい。
大魔界村とかマクセル乾電池の頃は他人事ながらどうしようかと思ったけど、もはや安彦良和の国家安康は保証されたようなものだろう。
オレはそんな今だからこそ、変わらぬ「安彦の軟弱」に密かに期待している。
微妙にオリジナル要素を加えつつあるあの安彦ガンダム漫画が、ドタンバのドタンバで20年ぶりの大軟弱大会と化すことを。
ラストシューティングしないで帰っちゃうアムロとか、シャアの愁嘆場とか、下半身が馬になるセイラさんとか、見てみたいとは思わんかね。
いや、馬は関係ないか。


ウルトラセブンの真実

2010年11月14日

今では誰かが辻褄を合わせて、もっともらしい設定を考えているかもしれないけど、
ウルトラセブンって、要するに仕事さぼってただけじゃなかろうか。
ウルトラマンは、まあベムラーを追ってるくらいだから、怪獣退治も業務の範疇というか、なんとなくFBIの腕利き捜査官が逃亡犯を追ってきた日本で活躍…みたいなパリっとしたイメージがある。
けどセブンの場合は、どっちかというと、場末のリゾート地で測量のバイトに雇われた兄ちゃんが、つまんない職場放棄してヒーローごっこ…みたいなやるせなさが漂うのだ。
しかもその相手も、ノンマルトとかギエロン星獣とか、輪をかけてやるせないのばっかし。
なんとなく、チンピラを叩きのめしたら没落した地主の息子だったとか、ポン中で暴れるヤクザをなんとか助けたいんだけど結局どうしようもないとか、そんなイメージがだぶる。
そう思うと、あのくたびれた感じのセブン上司もいかにも訳ありのいいキャラに見えてくる。たぶん恒点観測員って、あんなモラトリアム青年ばっかり集まる閑職で、セブン上司もそのなれの果てなのだろう。
あの上司、セブンの体の心配はするけど、おまえ仕事どうなってんだとか一切怒んないのな。
故郷に帰ったセブンは幸せだったろうか。名誉職だとは思うけど、「ウルトラ兄弟」なんか本当にやりたかったんだろうか。
地球に戻ってきて結局体を壊し、ゲンをシバキ倒していたセブンを見てると、いろいろ屈託はあったんじゃないかなあと思うのだ。
オレは断然マンが好きで、セブンはイマイチなんだけど。それはやっぱりセブンがなんとなく、ちょっと可哀想に見えるからかもしんない。


けんかえれじい 鈴木隆

2010年11月09日

コンタロウの「いっしょけんめいハジメくん」で、ハジメくんが20回見たというアレの原作。
81年だから、きっと当時は鈴木清順がハジメくんにとって、いやコンタロウにとっての偶像だったんだろうなあ。
原作は初めて見かけたので読んだ。すげえ面白い。一気に読める。
けど、後半があきらかに蛇足。
喧嘩修行がいつのまにか従軍記に。
著者にとって書かずにいられない部分なんだろうけど、読者の興味はそこにないという。でもやっぱ書かずにいられないという。人のこと言えなくて身につまされるという。
文庫で上下巻だけど、下巻あんまり読まなくていいかも。といっても、キロクちゃんのその後が気になるから読むだろうけど。
あと、この世代の人にありがちなパターンとして、もう徹頭徹尾反権力なのな。
そりゃあんだけイヤな目に遭えばそうもなろうけど、結果として、それが別の形で新たな敵というか、呪いのワラ人形を作り出してしまってる感は否めない。
もちろん、こうした評価も後出しじゃんけんに過ぎないので、せめてオレたちは必要上のワラ人形をできるだけ作らないよう努力しよう。
いや、後から振り返ってみると、絶対もっとヘチョい呪いのワラ人形や偶像を作ってるだろうけど。