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カールじいさんの空飛ぶ家(3D・字幕版)

2010年01月01日

3Dづいているので、カールじいさんも3Dで見た。
こっちは液晶シャッター式で、どうしても画面が暗くなるけど、これも劇場によるんだろうなあ。メガネが小さくなっててビックリ。
映画の方は、前半とにかく物凄くよくできてる。
特に開始20分ほどはもうボロボロ泣けるので、これだけでもカネを払う価値はある。
ただし後半が個人的に残念。
ここ最近顕著な「ピクサー病」とでもいうべきものを発症しており、展開の面白さを第一として追い求めるばかりに、脚本をいじくりまわしすぎた感があって、それまで積み上げてきた根底の部分が台無しになっちゃう感じ。なまじ前半が神がかっているだけに、それが実にもったいないなあと思うことしきり。
以下ネタバレが混じるけど、じいさんの憧れだった伝説の探検家を、あんな安い悪役として扱う必要は、どこにもなかったと思う。
確かに意外な展開で、表面的には盛り上がるんだけど、おかげで主人公の最終的な目的までがブレてしまい、全体のカタルシスが大幅にマイナスされてしまっているように思える。
(じいさんは探検家に象徴される「失われた夢」を目指したのであって、決して物理的な目的地として、楽園の滝への到達を目指したわけではないはずだ)
あの道具立てで普通に考えたら、もっと八方丸く収まるプランは他にもあると思う。
たとえば、
やっとたどりついた伝説の地で、じいさんは憧れだった探検家が終生追い求めていたあの怪鳥に出会うとともに、探検家の飛行船をも発見する。
今では墓標と化した巨大な飛行船を守る犬は、世代を重ねた探検家の忘れ形見であって、犬の操る小型蓄音機が、探検家の遺言を語る。
怪鳥の実在を疑われ、名誉を失った探検家は、執念の捜索の果てに、ついにこの地で、求める怪鳥を発見したのだった。
しかしそこは、絶滅したはずの動植物が生き続ける、いわば地上最後の楽園でもあった。
この楽園が人に知られることで汚され、消滅してしまうことを憂いた探検家は、名誉回復の望みを捨て、汚名を被ったまま、この地を守り、朽ちることを選ぶ。
「もし再びこの地に至り、我が声を聞く探検家あらば、この楽園を心なき者の手より守られたし」
やはり、憧れの探検家は最後までヒーローのままだった!
しかし、この楽園にも、いまや脅威が迫りつつあることをじいさんは知る。
ガキがリュックに持っていた通信機に連絡が入ったのだ。
(あのリュック、何でも入ってるから、そう不自然にはならん)
楽園の麓にキャンプを展開している大企業の資源探査隊だ。またしても、自分たちから居場所を奪っていく、あの「スーツの奴ら」の手先だ。
突然空飛ぶ家で現れたじいさんを、環境保護団体の奇抜なアピールと誤解し、調査権をタテに即時引き上げを警告して来る探索隊。
しかも、気流のために、これまでヘリも近づけなかった楽園に、意外にも飛行船や気球でなら近づけることを、図らずもじいさんが教えてしまったのだ。
ハイテク装備で迫り来る探索隊。奴らに知られたら楽園は終りだ!
「守らなきゃならん、妻だってきっとそうする」
「スーツの奴ら」に、必死の大勝負を挑むじいさんとガキ、そして犬と怪鳥。
もちろん多勢に無勢、絶体絶命。
その時、探検家の遺志が乗り移ったかのように、飛行船はこの日のために用意されていた最後の機能を作動させ、動植物を満載したノアの方舟と化す!
自動操縦で、地平の彼方、いずこかへ飛び去る飛行船。
その傍らに空飛ぶ家をひっかけたまま。
じいさんはそこに、探検家と妻の姿を、失われた夢の幻を見る。
ガキ「あの鳥たちは、どこか新しい楽園にたどり着けるかな?」
じいさん「きっとたどり着けるさ、わしらのように。なんたってあの探検家が、そして妻がついとる。」

…これで十分成立すると思うのだが。
多分この程度の筋立ては当然出るんだろうけど
それを脚本会議で揉む過程で
「それ普通じゃん、もっと面白くできるんじゃね?」
「探検家が実は生きてたら面白くね?」
「しかもそれがラスボスになったりすんの、どうよ」
みたいなやりとりがあるのかしらん。
それに、ほとんどの客は、実はあれで十分もう満足なのかしら。